• Nakamura Mineo

ハスカップの感染症に対する研究(論文)

最終更新: 4日前

人類の医学は、感染症との闘いで進歩・発展してきました。

代表が青かびからのペニシリンの発見です。今後、医療では、癌での死亡よりも感染症での死亡数が多くなる事が予想されています。

https://www.kanpo-nakamura.com/post/haskap




自然界の観察から色々なものが見いだされてきました。

例えば、植物は、動物と同じく、感染症(細菌、ウィルス、カビなどの真菌)があります。植物は感染源から動いて逃げることはできません。そこで自分たちを護るシステムを作り出しました。その防御システムを観察して人間が医学に応用してきた歴史になります。マラリアの治療薬キニーネもそうです。

 今回、感染症に対して漢方薬の原料(生薬)として有名なスイカズラ科(金銀花など)があり、ハスカップもスイカズラ科になり、ハスカップの源生地で有名な北海道厚真町では、梅干し替わりにおにぎりなどに使われてきた歴史をみますと、感染症に対する基礎研究が有望ではないかと考えて着手しました。

SDGs的な医療の実現に向けて


その結果をまとめて報告いたします。


厚真産ハスカップエキスの抗菌・免疫賦活作用 

 2017年 北海道薬学大会

○中村峰夫1)、牧野利明2)、南 正明3)  1)中村薬局、2)名市大院薬、3)名市大院医

ハスカップLonicera caerulea var. emphyllocalyx は、果実を食用とする低木である。本植物は、生薬の金銀花(花蕾)や忍冬(茎や葉)の基原植物であるスイカズラL. japonicaと同属であることから、ハスカップにも清熱解毒作用がある可能性を考えた。そこで本研究では、咽頭炎や壊死性筋膜炎など多彩な病態を示すA群連鎖球菌Streptococcus pyogenesに対する厚真産ハスカップの果実、葉および茎の各MeOH抽出エキスの抗菌活性と、菌を接種したマウスでの延命活性、消化管免疫賦活活性を評価した。

厚真産ハスカップの果実、葉および茎の各エキスは、in vitroにおける菌の増殖を抑制し、それぞれ抗菌活性を示した。菌をマウス背部の皮下に接種し、各エキスを経口投与しながら飼育して延命率を評価したところ、果実エキスでは有意差は認められなかったが、葉および茎の各エキスで有意な延命作用が認められた。各エキスを含む培地でマウス培養大腸上皮細胞を培養した時、免疫賦活サイトカインの産生が誘導された。いずれにおいても、果実エキスと比較して葉エキスにおいて強い活性が認められた。

本研究の結果、ハスカップの果実だけでなく、葉においても新たな用途が見いだされた。






厚真産ハスカップエキスの腸管病原性大腸菌に対する新規抗細菌効果

  2018年 北海道薬学大会 

○中村峰夫1)、牧野利明2)、南 正明3) 1)中村薬局、2)名市大院薬、3)名市大院医

ハスカップLonicera caerulea var. emphyllocalyx は、果実を食用とする低木である。我々は第64回北海道薬学大会で、厚真産ハスカップ果実エキスがA群連鎖球菌に対してin vitroで増殖抑制効果を有することを報告した。腸管病原性大腸菌は急性胃腸炎をおこす病原細菌であり、近年では薬剤耐性菌の増加から抗生物質以外の治療の選択肢が重要な検討課題となっている。そこで本研究では、厚真産ハスカップの果実MeOH抽出エキスの腸管病原性大腸菌に対するin vitroでの抗細菌効果を評価した。

HPLC分析の結果、本研究で使用したハスカップエキスは、cyanidin-3-O-glucosideを1.1 (w/w)%含んでいた。このエキスは濃度依存的に腸管病原性大腸菌の有意な増殖抑制を示したほか、細菌運動能やバイオフィルム形成能の有意な抑制作用を示した。これらの作用は、ハスカップ果実エキスによる腸管病原性大腸菌の鞭毛形成抑制によることが認められた。

本研究の結果、ハスカップの果実には、腸管病原性大腸菌に対しても、細菌の増殖抑制だけでなく細菌運動能やバイオフィルム形成能の抑制等の新たな抗細菌効果を持つことが見いだされた。






厚真産ハスカップ果実エキスのジンジバリス菌に対する新規抗細菌効果

 2019年 北海道薬学大会

○中村峰夫1)、牧野利明2)、南 正明3) 1)中村薬局、2)名市大院薬、3)名市大院医

ハスカップLonicera caerulea var. emphyllocalyx は、果実を食用とする低木である。我々は第64回、第65回北海道薬学大会で、厚真産ハスカップの果実エキスがA群連鎖球菌腸管病原性大腸菌に対してin vitroでそれぞれ増殖抑制効果や運動能抑制効果等の抗細菌効果を有することを報告した。ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)は、誤嚥性肺炎や歯周病の原因となる病原細菌であり、バイオフィルムを形成することで、抗菌剤等の外界刺激から自己防御する能力がある。そこで本研究では厚真産ハスカップの果実からMeOH抽出したエキスのジンジバリス菌に対するin vitroでの抗バイオフィルム効果について検討した。

ジンジバリス菌のバイオフィルム形成は厚真産ハスカップ抽出液で用量依存的に抑制された。更にバイオフィルム形成後に厚真産ハスカップ抽出液で処理して攪拌刺激を加えると、未処理群と比較して有意にバイオフィルムが除去された。

本研究の結果、厚真産ハスカップの果実は誤嚥性肺炎や歯周病の原因菌となるジンジバリス菌のバイオフィルム形成を抑制する新規効果が見出された。



ハスカップのジンジバリス菌に対する抗バイオフィルム効果

Anti-biofilm effect of Lonicera caerulea var. emphyllocalyx extract against Porphyromonas gingivalis

第92回日本細菌学会総会 2019年

南 正明1, 中村 峰夫2, 牧野 利明3

1名市大院・医・細菌, 2中村薬局, 3 名市大院・薬・生薬

[背景] ハスカップ (Lonicera caerulea var. emphyllocalyx) は北海道で古来から食用等に利用されてきた果実である。我々はこれまでハスカップのメタノール抽出物のA群連鎖球菌腸管病原性大腸菌に対するin vitroでの抗菌効果を報告してきた。ジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)は、誤嚥性肺炎や歯周炎の原因となる病原細菌であり、バイオフィルムを形成して、外界刺激から自己防御する能力がある。今回我々はハスカップ抽出物のジンジバリス菌に対するin vitroでの抗バイオフィルム効果について検討した。

[方法] 北海道厚真町産ハスカップの果実から室温でメタノール抽出液を調製した。3種類のジンジバリス菌(JCM12257, JCM8525, JCM19600)株をCDC Anaerobe Blood Agarで24時間前培養した後、1X106 CFUの細菌を、ハスカップ抽出液を添加したGAM液体培地中で嫌気性条件下で培養した。 48時間培養後のバイオフィルム形成能をサフラニンレッド染色法で測定した。また無添加GAM液体培地でジンジバリス菌を48時間培養後にハスカップ抽出液を添加して、バイオフィルム形成後のハスカップ抽出液によるバイオフィルム除去効果も検討した。

[結果] ジンジバリス菌のバイオフィルム形成はハスカップ抽出液で用量依存的に抑制された。更にバイオフィルム形成後にハスカップで処理された細菌群でも、未処理群と比較して有意にバイオフィルムが除去された。

[考察] 今回の結果からハスカップがin vitroでジンジバリス菌に対して抗バイオフィルム効果を有することが示唆された。



【以下が英語論文(査読付き・インパクトファクター)です。】(夫々の論文にリンクしています)


☆Effect of Lonicera caerulea var. emphyllocalyx Extracts on Murine Streptococcus pyogenes Infection by Modulating Immune System 査読付き

BioMed Research International Volume 2019, Article ID 1797930, 12 pages

https://doi.org/10.1155/2019/1797930

Masaaki Minami, Mineo Nakamura, and Toshiaki Makino

☆Methanol extract of Lonicera caerulea var. emphyllocalyx fruit has antibacterial and anti-biofilm activity against Streptococcus pyogenes in vitro 査読付き

BioScience Trends. 2019; 13(2):145-151.Biosci Trends.

Masaaki Minami, Hiroshi Takase, Mineo Nakamura, Toshiaki Makino


☆Effect of Lonicera caerulea var. emphyllocalyx Fruit on Biofilm Formed by Porphyromonas gingivalis 査読付き

BioMed Research International Volume 2019, Article ID 3547858, 9 pages

https://doi.org/10.1155/2019/3547858

Masaaki Minami, Hiroshi Takase, Mineo Nakamura, and Toshiaki Makino

☆Methanol extract of Lonicera caerulea var. emphyllocalyx fruit has anti-motility and anti-biofilm activity against enteropathogenic Escherichia coli. 査読付き

Drug Discoveries & Therapeutics. 2019; 13(6):335-342.

Masaaki Minami1,*, Hiroshi Takase2, Mineo Nakamura3, Toshiaki Makino4





<お問い合わせ先>

札幌市白石区南郷通7丁目北5-1

 有限会社 中村薬局

 認定薬剤師/臨床薬剤師 中村峰夫

https://www.kanpo-nakamura.com/kanpou-pharmacist


注意)

製品化・サービス化などで、この論文内容をご利用になります時にはご相談下さい。(ハスカップの葉・枝・茎の食経験は今現在、確認されておりません。)